紅茶をめぐる幸せな旅【3】

紅茶専門店『えいこく屋』   店主 荒川博之

「セイロン茶業の父」

ジェームス・テイラーの遺徳を訪ねて②

私が、スリランカにいることを実感できるもののひとつに、コロンボの老舗ホテル「ゴールフェイスホテル」のブレックファストがあります。 前庭の見える席に座ると、芝生に椰子の木がきれいに並び、その先が海岸。インド洋の波の音が聞こえ、しぶきの当たる堤防には、イギリス植民地時代の古い大砲が海に向かって並んでいます。 ビュッフェ式の食事は、種類、内容とも一流ホテルの風格で大変美味。世界一とも言えるフルーツの新鮮さ、美味しさもさすがです。

きちんと制服を着たボーイが現われると、ポケットから何やら取り出し、カラスを追い払っています。 見れば石を弾にしたゴム鉄砲。そんな光景が不自然でないのが、南国スリランカなのです。

東洋一の広さ! ベラデニヤ植物園

ダルマさんがトヨタの古いワンボックスカーで迎えに来ると、出発です。古都キャンディ郊外のベラデニヤ植物園から、すべてのティーロードから外れてあまり訪れる人のない、ガラハのル・レコンデラの茶園を目指します。まずはベラデニヤ植物園に到着。ダルマさんの通訳のお蔭で、英語、シンハリ語のやり取りには一切困りません。 ダルマさんによると、この植物園は東洋一の広さで、植物の種類の多いことで有名なのだとか。園内は大変広ジェイムス・テイラーが種を集めた茶樹を探すのに、随分時間がかかりました。が、やっと見つけたその木は何十m以上にそびえ立つ大木と化していました。 1820年代、インド・カルカッタから移植したアッサム種。ジェームス同様、私も種を持ち帰ろうと探してみましたが、見つけられませんでした。

親切なスリランカの人々

 いよいよル・レコンデラへ。車が道に迷うたび、大人も子どもも微笑みを浮かべ親切に道を教えてくれます。 ル・レコンデラ・ファクトリーにようやく到着。しかし門は閉じています。人影もなく、どうやら休業のようです。

せっかく来たのに…あぜんとしていると、また親切な人がやって来て、「今日は休業だ」と教えてくれ、またジェームス・テイラーに関するミュージアムがあるという場所を教えてくれました。近くにはジェームスの自宅跡もあるとのこと。現地の人々の親切が、しみじみうれしく感じられます。(つづく)

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